『世界のサブカルチャー史』映画で知る80年代のアメリカ 5選

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1980年代のアメリカは躍動と変革の時代でした。

レーガン大統領の指導のもと、新自由主義が台頭し、好景気にわきます。

そんな中、黒人やマイノリティが積極的に声を上げ、文化的多様性が輝きを増していました。

80年代は革新と挑戦の10年であり、その影響は今も深く感じられます。

アメリカの栄枯盛衰を捉えるために、80年代を象徴する映画に焦点を当てます。

ヤッピー文化、経済の発展、青春の躍動感──これらのキーワードを映画の中で追いかけ、それを知る上で5つの映画に注目したいと思います。

80年代のアメリカを象徴する映画5選

『摩天楼はバラ色に』(The Secret of My Success)

摩天楼はバラ色

1987年に公開された映画で、80年代アメリカのビジネス環境を風刺的に描いています。

主人公は、大都市で成功を夢見る青年。彼は身分を偽り、組織に潜り込んでしまいます。

映画は経済的な成功への欲望と倫理的ジレンマをコミカルに描き、80年代の企業文化や成功至上主義を風刺しています。

豪華なオフィスの中で繰り広げられる騒動は、当時のアメリカの商業主義と社会の価値観を反映しています。

アメリカの経済成長の陰に潜む複雑な現実が、この映画を通して見事に描かれています。

『ウォール街』(Wall Street)

ウォール街

1987年の映画で、80年代アメリカの金融界と道徳的価値観を浮き彫りにしています。

主人公の若きトレーダーは、強欲で野心的な大物投資家ゴードン・ゲコに引き込まれ、成功と腐敗の狭間で揺れ動きます。

映画は貪欲な金融環境、投機的な熱狂、そして成功至上主義が支配する80年代の雰囲気を見事に捉えています。

株式市場の波乱や金融取引の舞台裏がリアルに描かれ、時代の欲望や課題を投影しています。『ウォール街』は資本主義の根底に潜む複雑な倫理的問題に切り込みながら、80年代アメリカの経済的な成長とその代償を深く追求しています。

『タッカー』(Tucker: The Man and His Dream)

タッカー

1988年の映画で、アメリカの起業家であり自動車設計者であるプレストン・タッカーの実話に基づいています。

映画は1940年代から50年代にかけて、彼が夢見た先進的な自動車製造事業を展開する姿を描きながら、アメリカでの経済的挑戦と個人の夢に焦点を当てています。

アメリカの産業発展と個人の情熱が交錯する中、タッカーは革新的な車を造り上げようとし、その試みが巨大な産業機構と対立する様が描かれます。

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映画の舞台は80年代ではないですが、監督のフランシスコッポラがアメリカンドリームを失いかけた80年代のアメリカ人への熱い想いを感じる作品です。

『ドゥ・ザ・ライト・シング』(Do the Right Thing)

ドゥザライトシングス

1989年の映画で、スパイク・リー監督が手がけた社会的なドラマです。

物語はブルックリンの架空の地域で繰り広げられ、アフリカ系アメリカ人とイタリア系アメリカ人の対立を中心に、炎天下の中で巧みな緊張感を構築しています。

映画は80年代のアメリカにおける人種差別、経済的な不平等、そして文化の複雑な交錯をリアルかつ感情豊かに描き出しています。

登場人物たちが様々な価値観や立場から生じる緊張に直面し、最終的には過激な結末へと向かいます。

『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、アメリカ社会の複雑な現実を余すことなく映し出し、その当時の緊張感や抗議の雰囲気を反映しています。

『ビバリーヒルズ・コップ』Beverly Hills Cop

1984年のアクションコメディで、エディ・マーフィが演じる黒人刑事アクセル・フォーリーが主人公です。

この映画は、当時のアメリカ社会においては異例の黒人俳優が主演を果たす作品でした。

80年代初頭、人種差別やステレオタイプが依然として存在する中、『ビバリーヒルズ・コップ』はアクセル・フォーリーが派手でユニークなキャラクターとして成功を収め、一石を投じました。

物語はデトロイトから華やかなビバリーヒルズに向かうアクセルの冒険を描き、対立する文化や価値観をユーモラスに浮き彫りにします。

エディ・マーフィのコメディタッチと、アクションとしての見応えが共存し、当時の社会的な変遷を映し出しています。

黒人主人公の成功は、その後の映画製作においても多様性と包括性への一歩となりました。

まとめ

アメリカの80年代は映画や音楽を通して多様なサブカルチャーが躍動した時代。

『ビバリーヒルズ・コップ』などの映画が、異例の主人公や友情の模範となり、黒人俳優が活躍するきっかけとなった。

『ドゥ・ザ・ライト・シング』は人種問題を鋭く切り込み、80年代の社会の複雑な側面を描き出した。

『ウォール街』は経済の波乱と倫理的なジレンマを浮き彫りにし、80年代アメリカの複雑な現実を投影した。

これらの映画は、80年代の文化や価値観を優れた形で反映し、今日まで語り継がれる豊かなサブカルチャーの遺産を残しています。