『光る君へ』第20回「望みの先に」では藤原伊周と藤原隆家が花山法皇を襲う「花山院闘乱事件」とも呼ばれる政変「長徳の変」が描かれていました。
乱闘騒ぎ後、体調が思わしくない道長の姉である藤原詮子。
道長の正室である源倫子は「悪しき気が漂っておる」と屋敷内を女房らに調べさせると、屋敷内のそこかしこに呪符がたくさん出てきて、伊周が詮子を呪詛したと驚きの展開へ。
ネット上では「詮子の自作自演では?」や倫子の言動にも注目が集まったりと、気になった方も多かったのではないでしょうか。
そんなわけで今回は「長徳の変」にて起きた詮子への呪詛について深掘りしていきたいと思います。
わかりやすく長徳の変とは?
まずは今回の伊周と隆家が排除されるきっかけとなった「長徳の変」について簡単に説明します。
道隆の嫡男である藤原伊周は故藤原為光の娘の三の君に通っていた。同じ頃に花山法皇が三の君と同じ屋敷に住む四の君に通いだす(三の君と四の君は火山法皇が出家する前の天皇在位中に溺愛していた藤原忯子の妹に当たる)。ところが伊周はそれを自分の相手の三の君に通っているのだと勘違いし、死者が出るまでの乱闘騒ぎまでに発展する。これをきっかけに道隆の一族である中関白家の排斥される。
この時の乱闘騒ぎの様子を当時のことを綴ったとされる歴史物語の『大鏡』によると、従者の武士を連れて法皇の一行を襲い、法皇の衣の袖を弓で射抜いたされていますが、ドラマでは牛車に弓が当たっていました。
史実、当時の記録からはこの乱闘騒ぎの後に伊周が詮子と道長に呪詛をしていたとし一条天皇は公家を招集し、伊周・隆家兄弟の処分を伝えます。
一条天皇は2人が花山法皇に矢を射たこと、詮子を呪詛したことで、伊周を大宰権帥、隆家を出雲権守に降格させたうえで流罪という厳しい処分を科したとされています。
ドラマで詮子を呪詛したのは誰?
それではドラマ『光る君へ』では誰が詮子を呪詛したのかが話題になっていたので、ここからはそちらを考察していきましょう。
ちなみに史実でははっきりと呪詛したのが誰とは言及されていません。
今回は史実は史実、ドラマはドラマとして考えて詮子を呪詛したのは誰かか見ていきましょう。
詮子の自作自演
政敵である伊周が失脚し、道長が政治の頂点に立つことを一番望んでいたのが道長の姉である詮子です。
そのためこの絶好の機会で伊周の呪詛による病気というシナリオのでっちあげ自作自演したのではないでしょうか。
詮子の実の父・兼家も同じような方法で花山天皇を退位、出家させたという過去もあります。
安倍晴明黒幕説
以前に安倍晴明が花山天皇の出家のために道長の父に仮病を使うことを提案したように、詮子にも自作自演の呪詛を提案したとしても何の違和感もないのではないでしょうか。
騒動後の道長と晴明とのやりとりも何か裏を知っているような怪しい感じもしました。
全て知ってしまった倫子?
屋敷内から呪符がたくさん出てきて、それに驚く詮子を横目に何かに気づいてしまったかのような倫子。
詮子への呪詛が自作自演ということにでも気づいてしまったかのように見えました。
ただこの事件に関して「屋敷内で起きたことは、私が責めを負うべきにございます」と一旦は一条天皇には秘密に。
ただし、なぜかすぐに伊周が詮子と道長を呪詛していたということが一条天皇に知られてしまい、伊周たちは罪に処されることに。
ということは全て知ってしまった倫子が自分の殿の立場を盤石にするためにこの事件を利用したと言うことなのでしょうか。
【補足】道長の反応
自分の姉・詮子への呪詛を倫子から聞いた時の会話ですが、
倫子「このことは、私にお任せいただけませんでしょうか。屋敷内で起きたことは、私が責めを負うべきにございます。こたびのことも、私が収めとうございます。殿はどうぞ、内裏でのお役目に専念くださいませ」
道長「されど、女院を呪詛するは、帝を呪詛するに等しいのだぞ」
倫子「それゆえに、間違いがあってはなりませぬ。私にお預けくださいませ」
道長「(一度、考え込むも、倫子の笑みに)あ…そうか。では、そなたに任せよう。このことは帝にも申さぬ。それでよいな」
倫子「(笑顔で頷き)はい、ありがとうございます」
このやりとりからも道長も詮子への呪詛も詮子の自作自演ということに気づいてしまったのではないでしょうか。
伊周が道長に涙の潔白を訴えた時も、道長は詮子への呪詛も詮子の自作自演だと思っていたのではないでしょうか。
まとめ
今回はドラマ『光る君へ』で描かれた「長徳の変」で伊周らが失脚していく決定的な事件として詮子への呪詛について深掘りしていきました。
ドラマでは誰が詮子のことを呪詛したのでしょう?
- 詮子への呪詛は伊周の政敵である詮子が自作自演した?
- その自作自演を黒幕である安倍晴明が後押しをした?
- この自作自演を知ってしまった倫子は道長の立場を盤石にするために利用した?
- 実は途中から道長も全て知っていたのではないか?
などといったことを推測されます。
『光る君へ』ではあえてはっきりと答えを出さずにあえて視聴者に想像させることが多いため、今回の事件ももしかしたらドラマの中では答えは出ない可能性が高いのではないでしょうか。